社会不安障害(SAD)における行動療法

前ページの認知療法に続き、ここでは認知行動療法の1つである「行動療法」について書いていきます。

認知療法は物事の考え方や捉え方を変え、過剰な不安や恐怖を取り除いていく治療法ですが、行動療法はその名の通り「行動して慣れる」治療法で、不安や恐怖、緊張を感じる場面に曝すことから「曝露療法」とも呼ばれます。

「不安や恐怖を感じる場面に曝す」と言っても、いきなりそういった場面に突っ込んでいくのではなく、短い時間やそれに近い状況など、あまり不安や緊張を感じない程度から徐々に時間を長くしたり、核心の場面に近づけていったります。

これは単独でも行えますが、事前に薬物療法と認知療法を取り入れ、下地を作っておくと、成功する可能性も高くなりますし、期間も短縮できると思います。

では前のページの「認知療法」で取り上げた場面である「あまり親しくない人との食事」を例にとってみましょう。

■まず親しい友人や家族数人と食事をし、食事をする事自体が不安や恐怖の対象ではないという事を確認しておく。
■親しい友人や家族に、あまり親しくない人を1人加え食事をする
■親しい友人や家族と、あまり親しくない人を半々くらいの割合にし、食事をする
■上記の場面で、親しい友人や家族に少し席を外してもらう
■上記の場面で、親しい友人や家族に長く席を外してもらう

…というような手順になります。

これらは一例ですが、上記を実践する時の「あまり親しくない人」というのは、親しい友人や家族の友達や知人を誘ってもらい、「あまり親しくない」というのも、「ある程度話をした事がある」から「まったく面識が無い」まで様々ですので、まったく面識のない人との食事は最終段階にしたほうがいいでしょう。

このように、始めは不安や緊張をほとんど感じない場面からスタートし、少しずつ不安を感じる場面に近づけていくのが行動療法の基本ですが、「これが出来たから、ハイ次」というよう事はせず、同じ場面を何度も反復し、ある程度自信が付いてから次のステップに進むようにします。

あまり結果を急ぎすぎると失敗する可能性が高くなり、より苦手意識が強くなってしまうという逆効果になる恐れがあるからです。

物事の考え方や捉え方を変えていく「認知療法」も含め、認知行動療法は短期間に劇的な効果が出るものではなく、数十年にわたって培ってきた考え方や捉え方を変え、苦手な場面に慣れるというのは一朝一夕でできる事ではありません。

そして時間と共に自分から苦手な場面に足を踏み入れる苦痛も必要となりますので、ただ飲めばいいだけの薬物療法に比べれば自分自身の努力も必要となってきます。

しかし認知行動療法は薬物療法と違い、根本的な解決に繋がりますので、より普通の生活を取り戻せる可能性は高まりますし、再発の可能性も減るという、社会不安障害にとって一番重要な治療法となります。

一歩一歩、少しずつで構わないので、出来るだけ治療に取り入れるようにしましょう。

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