禁煙治療の方法は自力か禁煙外来

ニコチン依存症は一種の薬物依存症であり「精神疾患」として分類されます。

普段何気なく吸っているタバコが実は「精神疾患」だったというのはちょっとショッキングな話ですが、喫煙者の7割近くがニコチン依存症にかかっているという事実からも、「たかがタバコ…」と侮る事はできません。

現在喫煙している方でも結構な割合で「出来れば禁煙したい」と思っている方が存在する一方、いざ禁煙となると尻込みしてしまう方も多いのが現状で、ついついズルズルと喫煙を続けてしまうものですが、それでは何も始まらないので思い切って禁煙の第一歩を踏み出すことが大事になります。

では「禁煙」には具体的にどういった方法があるのか?

大別すると「自力で禁煙する」と「禁煙外来を受診する」の二通りとなります。

誰もが考え実践した事がある方も多いであろう「自力での禁煙」は、いつでも思い立った時に手軽に始められるメリットがありますが、その成功率は低く1年後の禁煙継続率は10%程度といわれています。

気軽に禁煙を始められるが、気軽故に本気で取り組む人の割合は低くモチベーション維持も難しいため我慢できずにタバコを吸ってしまう方が大半です。

自力禁煙に必要なものは1にも2にも「強い意志」であり、その意思を持ち続けるためにも強い動機付けが必要となります。

  1年後の禁煙成功率は自力で10%、禁煙外来で30~40%。

一方で医療機関の「禁煙外来」は禁煙の補助となるものを用いながら医師の指導の元禁煙に取り組むため自力での禁煙に比べ禁煙継続率は大幅に高くなり、1年後の禁煙継続率、成功率は30~40%くらいとなっています。

数年前まではニコチンガムやニコチンパッチといった喫煙以外でニコチンを取り込みタバコへの欲求を軽減させる方法が一般的でしたが、近年は「チャンピックス」という薬の登場によりニコチンに頼らない治療が可能になっています。

チャンピックスの具体的な作用は、ニコチンと結合し快楽物質であるドーパミンを放出する「ニコチン受容体」にチャンピックスの成分が結合し少量のドーパミンを放出する事により喫煙のイライラなどを抑えると同時に「タバコを吸いたい」という欲求も減少させ、またチャンピックスが先回りしてニコチン受容体と結合するため喫煙により体内に取り込まれたニコチンはニコチン受容体と結合する事がなくなり快楽も感じなくなるためタバコが不味くなります。

こうして禁煙補助薬を使う事によってタバコを吸いたい欲求を抑えられますし、またそれなりの費用を払い通院の時間も割くためおのずとモチベーションは高くなり、これが成功率を飛躍的に高める結果となります。

もちろん気軽に始められる自力での禁煙と違い、禁煙外来を受診する方は「本気度」が違いますから、そういった意味でも禁煙成功率が高くなるのは必然といえるでしょう。

ただし勘違いしてほしくないのは、禁煙外来で用いられるパッチやチャンピックスなどはあくまでも「補助」でありタバコを吸いたい欲求が無くなる訳ではなく、自力での禁煙同様「タバコを止めたい」という強い意志と我慢が必要になり、禁煙外来を受診しても1年後の禁煙成功率が4割に満たない事実がそれを物語っています。

ちなみに気になる禁煙外来の治療費用ですが、3ヶ月の通院を目安として…

■ニコチンパッチ … 12,000円前後
■チャンピックス … 18,000円~20,000円

…となっており、小西真奈美さんが出演していた禁煙治療のCMでの「タバコ1箱400円として、1日に2箱吸えば25日で2万円。だいたいそれくらいで治療が受けられるんですよ」という文言どおりとなっています。

本当に禁煙したいという強い意志があれば自力でも十分に止められますが、出来る限り成功率を高めたいのであれば禁煙外来を受診するほうがよいでしょう。

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