統合失調症(精神分裂病)の原因

統合失調症は薬物療法など有効な治療法がある程度確立されていますが、その原因はまだ完全には分かっておらず、完治も難しい状況というのが現状です。

統合失調症の原因になりうる仮説はいくつか存在し、現在最有力とされているのが「ドーパミンの過剰」といわれておりますが、これはドーパミンD2受容体遮断作用をもつ抗精神病薬が陽性症状に有効であるために有力とされている説です。

つまり統合失調症の典型的な症例である「幻聴」や「妄想」といった「陽性症状」に対しては、神経伝達物質の1つであるドーパミンの過剰状態を抑制する事で、明確な効果が期待できます。

一方で、陽性症状が治まった後に出てくる、意欲の低下や感情の欠乏などといった「陰性症状」では、逆に「 ドーパミンの不足や活動の低下が原因になっている」ともいわれており、陽性症状とは原因が異なっているというのが通説となってきています。

他に有意な説として「統合失調症の遺伝性」も確認されており、、両親のどちらかが統合失調症の場合、子供が統合失調症に罹る可能性は10%程度といわれ、普通の人の統合失調症罹患率である1%と比べると相当高い数字となっています。

DNAが完全に一致する一卵性双生児の片方が統合失調症を患っている場合、もう片方が統合失調症に罹る確率はおよそ50%という研究結果がありますから、間違いなく遺伝性は存在しますが、必ず遺伝するほどのものでもありません。

実際に私の母は統合失調症ですが、これを書いている36歳現在の私に統合失調症の気配は全くありません…が、社会不安障害を患っていますから、もしかしたら親が統合失調症の場合は、統合失調症自体が遺伝しなくても、何かしらの精神疾患に罹る可能性は高くなるのかもしれませんね。

他の仮説には、「母親が妊娠初期にインフルエンザなど何かしらのウイルス性疾患に罹った場合、その子は統合失調症に罹る可能性が高い」というものもあり、一説には上記の遺伝性に匹敵するほどの有意性があるともいわれております。

このように様々な要因により発症する統合失調症ですが、然るべき治療を受け適切な対処をすれば多くの場合、普通の日常生活を取り戻せる事も忘れないで下さい。

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