サインバルタ 世界で最も売れるSNRIの効果は

抗うつ薬世界売上高1位のサインバルタ(シンバルタ)

現在日本の抗うつ薬市場では第3世代の抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が圧倒的なシェアを誇っており、第4世代の抗うつ薬であるSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)はあまり使われておりません。

しかし世界の医薬品売上高では抗うつ薬としてはSNRIであるサインバルタが圧倒的な売上げを誇っており、SSRIでは最も売れているレクサプロをも突き放しております。

日本で主流であるSSRIはセロトニンの再取り込みを阻害し脳内のセロトニン濃度を高める効果に特化しているのに対し、SNRIはセロトニンとノルアドレナリン双方の再取り込みを阻害し濃度を高める薬で、SSRIに比べ意欲を高める効果があります。

日本では2001年に初めてトレドミンというSNRIが認可され使われるようになりましたが、あまり効果が高くないとの理由から普及せず、2010年に「世界1位の抗うつ薬」の肩書きを引っさげ満を持して登場したのがサインバルタ(海外名シンバルタ)です。

しかし世界では抗うつ薬トップの売上げを誇るサインバルタも日本においてはSSRIの牙城を崩すに至らず普及しているとは言いがたい状況となっています。

SNRIであるサインバルタの効果は?

そんな日本ではいまいち普及しきれないサインバルタですが、効果はどうなのでしょう?

SNRIの特徴はセロトニンとノルアドレナリンの両方の濃度を高める効果がある事で、セロトニンが増えれば不安や緊張が和らぎ、ノルアドレナリンが増えれば意欲ややる気が高まるといった効果が望めます。

不安を抑え意欲を高めるという事でうつ病の治療に相性が良く、うつ病のみならず様々な心の病に効きそうな万能感を感じますが、必ずしもそうとは言い切れない面もあります。

SNRIであるサインバルタはセロトニンとノルアドレナリンに作用し、先に発売されたトレドミンに比べ効果が高いのですが、セロトニンの再取り込み阻害作用だけを見ればSSRIであるレクサプロジェイゾロフトには及ばないため不安を取り除く効果も弱くなり、社交不安障害(社会不安障害)やパニック障害など意欲の低下は少ない一方極度の不安や恐怖が襲う心の病の場合SSRIの方が適切である場合も多くなります。

私自身も嘔吐恐怖社交不安障害が強いので、「SSRIとSNRIどちらを使う?」と問われれば、かつてパキシルで症状が軽くなった経緯もあり、まずはSSRIを使ってみると思います。

もちろんこれは状況によって変わってくる問題で、大うつ病など明らかに意欲の低下などが伴えばSNRIが最善と言えるでしょうし、世界的にはパニック障害の第一選択薬はSNRIとなっています。

サインバルタの副作用はSSRIに比べてどうか?

そして効果と同じくらい気になるのが副作用です。

サインバルタはSSRIと違いノルアドレナリンにも作用するものの、実はSSRIにもノルアドレナリンやドーパミンに作用する効果が若干あり、サインバルタも他のSSRIと似た副作用が出ます。

サインバルタの主な副作用は以下のようになります。

  • ■吐き気
  • ■めまい
  • ■眠気
  • ■頭痛
  • ■口が渇く
  • ■性機能障害

SSRI同様この中で一番辛いのが「吐き気」で、これを苦に服用を止めたり薬を変更してもらう方も多いのが現状ですが、吐き気や頭痛、めまいといった副作用は飲み始めてから2週間ほどで改善してくる場合が多く、同時に効果が出始めるのも2週間後くらいからなので、多少の副作用であれば我慢して飲み続け薬の効果を確かめるべきです。

サインバルタは他のSSRIに比べ副作用は弱めとされておりますが、こればかりは個人差が大きい問題なので結局は「飲んでみないと分からない」というのが実情です。

サインバルタの薬価と個人輸入のメリットデメリット

サインバルタは比較的新しい薬という事もあって薬価は高めに設定されており、医療機関で処方される場合の薬価は、最新のSSRIであるレクサプロより若干高くなります。

もうひとつの購入方法として個人輸入があり、正規の海外製サインバルタ(シンバルタ)とシンバルタジェネリックの1錠あたりの薬価を合わせて掲載します。

サインバルタ シンバルタ(海外正規) シンバルタジェネリック
20mg 173.5円
30mg 235.3円 107.9円
60mg 129.7円 129.4円

こう見ると日本のサインバルタの高さが目に付きますが、医療機関で処方してもらえば3割負担となるので実際は30mgで70.5円になります。

おそらくすべての個人輸入の薬に言える事ですが、日本では健康保険が使えるため薬価の3割負担で処方されますから単純に薬の価格のみで見れば医療機関で処方してもらったほうが安く済みます。

しかし抗うつ薬は毎回医師による診察が必要で薬の処方のみが認められていませんから診察料がかかり、処方にあたっては処方料などもかかりますから結局は高くなってしまいますし、忙しい方などは受診にかかる手間などの時間的損失も考慮すると個人輸入という選択肢も視野に入ってきます。

ただ、サインバルタをはじめとした抗うつ薬は個人の独断で使うには危険な薬となりますので、できれば数回は心療内科や精神科を受診しサインバルタを処方してもらい、症状や副作用が安定してきたら個人輸入に切り替えるという方法を取ってください。

ちなみに、個人輸入で購入するシンバルタジェネリックなどはサインバルタの1日の最大量である60mgしか設定がなく、しかもカプセルなので錠剤のように分割したりはできないのですが、多くの方は薬局などで空のカプセルを購入し中身を2等分や3分割して飲んだりしており、この方法を使えば60mg購入で長く使える事になりますので参考にして下さい。


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