心療内科・精神科・神経科の違い
ご自分もしくはご家族が心の病を患っていると感じ、重い腰を上げいざ「病院に行こう」となった時に「何科にかかればいいのか?」と感じた方も多いと思われ、その混乱を招く原因は「心療内科」「精神科」「神経科」の3つが混同してしまっているからと思われます。
いままでこういった科に馴染みのなかった方の多くがこの3つの科に抱く印象は…
■心療内科
うつ病やパニック障害などといった心の病全般を扱っており、また名称からも一番とっつきやすく真っ先に候補に挙がる科。
■精神科
人格や精神状況などに大きな障害をもたらすような重篤な精神患者を診ている科で、軽いうつ病やパニック障害、不安障害でかかる事はない、ちょっと別世界な科。
■神経科
よく分からないけど神経の異常に関する科。
…こんな感じではないでしょうか?
「精神科」というといかにも精神に異常をきたしている人がかかっている印象を受けますから、心の病を疑った方の多くは「心療内科に行ってみよう」となるでしょうが、実際にこの3つの科の明確な違いはどうなっているのか見てみましょう。
■心療内科
心療内科とは「心身症」を診る科で、心身症の定義は「身体疾患のなかでその発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」となっており、身体の症状の原因がストレスなどの心因的なもので、うつ病やパニック障害などの精神疾患からくる身体症状は「除外」となっています。
つまり本来の心療内科はうつ病やパニック障害、各種不安障害は対象外となります。
■精神科
うつ病やパニック障害、不安障害から摂食障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)といったものまで、いわゆる精神疾患全般を診る科。
■神経科
精神科とほぼ同義。
…となっています。
こういった科に馴染みのない方からすればうつ病などにかかったらまず心療内科が選択肢に入ると思いますが、本来心療内科はうつ病やパニック障害といった精神障害は対象外で、精神障害以外のストレスといった心理的なものが原因で現れる身体症状を診る科です。
しかし世の中の心療内科の多くは精神疾患も診ており、その理由は「精神科という敷居の高そうな科より心療内科という聞こえの柔らかい科を選択したい」という患者側の希望が大きく反映されていると思われます。
実際に私も緊張から来る吐き気に悩まされて、初めにかかった科は敷居の高い精神科ではなく心療内科を選びましたが、これは当時精神科と心療内科の違いが分からなかった事と「精神科にかかるほど酷くない」という根拠のない自負が理由でした。
実際には心療内科と精神科の両方を標榜している病院も多く、総合病院などに入っている心療内科も精神科と同じ事をしている場合がほとんどなので、現実にはうつ病やパニック障害で心療内科にかかっても何も問題はないでしょう。
ただ、厳密には精神疾患といわれる心の病は精神科で診てもらうものであり、出来れば精神科を標榜している病院にかかるのが理想かもしれません。
そして最後に「神経科」ですが、これは精神科と同じものと思って差し支えなく、中には神経科のみを標榜している病院もありますが、これも精神科と同義であると判断してよいでしょう。
もしかしたら神経科も精神科という響きを嫌がる患者のための呼び名なのかもしれません。
ただ、精神科は精神疾患を精神面からアプローチする科で、神経科は精神疾患を脳神経からアプローチする科という説もあり、厳密には違う科なのかもしれませんが、診ている病気は同一ですので安心してください。
しかしこの「神経科」には「神経内科」という名前の似通った科が存在します。
この2つの違いは次のページで詳しく書いていきます。
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