森田療法って効果あるの?
前のページでは森田療法の簡単な概要を書きましたが、このページでは森田療法が効果的とされる不安障害に罹っている管理人の視点から森田療法を考察してみたいと思います。
森田療法を簡単におさらいすると…
■あるがままを受け入れる
■薬はもちろん、不安障害特有の様々な「回避行動」を一切行わない
■行動は常に「目的ありき」で「症状ありき」の行動は一切行わない
要は「不安障害やパニック障害の症状など一切気にせず一般の健常者とまったく同じように目的で動け」という治療法であり、症状が出る事を恐れて行動を制限する事はもってのほかで、抑える抗うつ薬や抗不安薬の服用はもちろん気分を落ち着けるための「水を飲む」「アメをなめる」といったような様々な行動なども行ってはならない。
そういった回避行動を行う事によって、よりその症状や病気を強く意識していまう結果となり、ひいてはそれが症状の悪化に繋がる…という考え方で、不安障害を患っている私自身その言い分には強い共感を覚えます。
私の症状は主に「緊張」と「吐き気」なのですが、緊張が高まり吐き気が起きてくると必死に症状を押さえ込もうとするのですが、症状を抑えようとすればするほどその症状を強く意識してしまい、どんどん症状が悪化するというのはよくある話。
一方で、前のページでも書きましたが、予想外の突発的な事が起きて一瞬でも症状を完全に忘れ去るような状況になるとアッサリ症状が治まってしまったりして、結局不安障害の症状というのは森田療法でいう「とらわれ」が原因なんだなと痛感するわけです。
そう、森田療法の「とらわれ」の考え方は実際に不安障害に苦しむ人間にとっては否定のしようがないのですが…
では肝心の森田療法の治療に関してはどうなのか?
本当に効果があるのか?
ここでは森田療法の入院治療で用いられる第一期~第四期の治療法や外来治療の日記療法は除外し、上記の「あるがまま」を基にした回避行動を行わない治療について考えて行きます。
森田療法の考え方を明確に表した治療法に「恐怖突入」というものがあり、これは読んで字のごとく不安障害やパニック障害の方が恐怖と感じるもの…例えば「電車に乗る」「人ごみに入る」といった、恐怖や不安のために普段なら回避してしまう状況に自ら入っていくものです。
簡単に言ってしまえば恐怖や不安は外から見ているだけで実際に体験しないから増幅するのであって、実際にその中に入ってしまえば大した事ないという考え方からきている治療法で、一度や二度の恐怖体験で予期不安を強めその行動から回避しては、さらに予期不安が強くなって症状を悪化させてしまうというから、思い切って飛び込んでみろというもの。
確かに逃げてばかりではいつまで経っても症状は良くならない。
それは分かるのですが「恐怖」や「不安」といったものに積極的に飛び込んでいけるほど強い人間はそもそも不安障害やパニック障害には罹らない気がしますし、実際に飛び込んでみても「ああ、実際にやってみれば大した事なかったね」となるとは限りません。
目的本位の行動は普通の人間ならごく当たり前の行動ですが、不安障害やパニック障害に苦しんでいる人間に「症状を恐れてはならない、目的本位で行動しろ」というのはあまりにも酷であり乱暴であり極論のように感じます。
もちろん森田療法でもいきなりすべての恐怖や不安を捨て去り目的のみで行動しろといっている訳ではなく、とりあえず恐怖に突入するところから始めてみて、徐々にその範囲を広げていけばいいというスタンスを取っていますが…
私自身も不安障害による引きこもりを体験し「もう二度とあんな状態にはなりたくない」という想いから今はそれなりに行動しており、森田療法で言う「恐怖突入」にあたる事も多くやっていますが、必ずしも成功しているとは言い難かったりします。
次のページでは私の実際の体験談を元に森田療法の是非を考えてみたいと思います。
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