嘔吐恐怖症に抗不安薬や吐き気止めは効く?

嘔吐恐怖症に一定の効果は期待できる抗不安薬

前ページでは嘔吐恐怖症における抗うつ薬について詳しく書きましたが、ここでは抗うつ薬以外の薬について書いていきます。

まずはレキソタンやドグマチールに代表される「抗不安薬(精神安定剤)」から。

嘔吐恐怖症は強い緊張や動悸、恐怖、不安が引き起こされますから抗不安薬は有効で、完全に吐き気を治める事は無理でもある程度の効果は十分に期待できますし、パニック障害同様「抗不安薬を持っている」というだけで安心を得られるというメリットもあります。

くわえて多くの抗不安薬には吐き気の副作用はありませんから、嘔吐恐怖症を患っている方でも安心して使っていけます。

抗不安薬は毎日2~3回服用する場合と、頓服(緊張や不安が強い時に飲む)で処方される場合があり、症状が酷い場合は毎日の服用で比較的症状が軽い場合は頓服といったような使い分けがなされます。

しかし抗不安薬は頻繁に服用すると効果が弱まってくる事が知られており、あまり抗不安薬に頼っていると目に見えて効きが悪くなりますので、症状が楽になるからといってちょっとした事ですぐに飲んでしまうのも考えものです。

代表的な抗不安薬にレキソタン、ソラナックス、ドグマチール、ワイパックス、メイラックスなどがあり、人により相性があり効く薬が違いますので、いくつか試してみて自分にあった抗不安薬を見つけておきましょう。

嘔吐恐怖症にナウゼリンなどの吐き気止めは効果ある?

一般的に心の病や神経症には抗うつ薬と抗不安薬が使われますが、嘔吐恐怖症では主に胃腸の病気などで用いられる「吐き気止め」が使われる事もあります。

しかしそもそも吐き気止めは胃腸の不調に対してその働きを抑制したり活発化したりする薬であるため、精神的なもので吐き気が引き起こされる嘔吐恐怖症に効くのかどうか疑問に感じている方も多いと思います。

吐き気止めの代表的な薬の一つである「ナウゼリン」を例にとってみると、この薬は「消化管に存在するD2受容体(ドパミン2受容体)を阻害することでアセチルコリンの分泌を促し、胃や腸の運動を改善させる薬」という効能で、これだけ見ると精神的な吐き気には効果が無さそうに感じますが、ナウゼリンにはもうひとつ「脳の嘔吐中枢に働きかけて(吐き気を引き起こすシグナルを阻害して)嘔吐や吐き気を抑える」という作用があります。

胃腸に働きかけるだけであれば神経症の吐き気には効かないと思われますが、脳の嘔吐中枢にも働きかけるのであれば一定の効果は期待できるのではないでしょうか。

神経症で引き起こされる吐き気には効かないという意見もありますが、嘔吐恐怖症を患っている多くの方は吐き気止めの効果を実感しており、もし現在まで吐き気止めを使った事がないのであれば一度試してみる価値は十分にあると思います。

処方される吐き気止めの多くは「ナウゼリン」と「プリンペラン」で、長い時間吐き気を感じている方などは一日2、3回の定時薬として、突然のパニック的な吐き気に対応したい場合は頓服薬としても対応します。

嘔吐恐怖症に抗不安薬や吐き気止めは使うべきか?

まず嘔吐恐怖症に長年苦しめられている私の経験からですが、パキシルレクサプロといった抗うつ薬を使わなくなってからもう何年も経つ現在も抗不安薬は常に常備しています。

かつて精神科に通っていた頃に頓服薬として試してみたのはデパス、ソラナックス、レキソタンの3種類で、何度も試しましたがソラナックスとレキソタンに関しては大きな効果を感じる事はありませんでした。

一定の効果を確認できたのはデパスで、やはり日本で一番処方されている抗不安薬である事もあって服用から20~30分もすれば緊張が徐々に引いていくのが実感できますが、もっと早く効果が欲しい場合は舌下に入れて溶かしていました。

ある程度嘔吐恐怖症が良くなってきて抗うつ薬も止めてからは仕事が忙しくなっていた事もあって精神科にはあまり通わなくなりましたが、頓服で飲む抗不安薬が無くなりそうになると予約のいらない精神科にかかって薬をもらうようにし、今でも緊張にる吐き気を感じた時は飲んでいますし、お守り代わりにもなっています。

ただ長年飲み続けたせいなのか、私が愛用している0.5mgではあまり効果を感じなくなっていて、最近は緊張や吐き気の度合いによって2錠飲んだりする事もあります。

一方の吐き気止めですが、かつてナウゼリンとプリンペランを試した事があり、個人的にはナウゼリンの方が効果がある感じがしました。

ただ吐き気止めを飲む時には抗うつ薬も一緒に飲んでいたため吐き気止め単体での効果は分からず、結局「恐怖や不安から来る吐き気なのだから精神安定剤の方が効くだろう」と止めてしまいました。

最近はデパスも少し効きづらくなっている感もあり、また嘔吐恐怖の症状も若干悪化してきているので、今度はしっかり吐き気止めを試してみようと考えています。

抗不安薬、吐き気止め共にある程度の効果は期待できる一方で「絶対に効く」というほどの効果は期待できませんが、この二つを併用する事によって2つのアプローチで吐き気を抑えるためかなりの安心感に繋がると思います。

あまり薬に頼りすぎるのはまずいと思いますが、適度に薬に頼って症状を上手にコントロールできれば行動範囲は飛躍的に広がるでしょう。

辛い心の病を治す抗うつ薬

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