統合失調症の治療法 「生活技能訓練(SST)」
様々な心の病の中でも統合失調症は薬物療法の重要度が高い病気ですが、他のメンタルヘルスでいう「認知行動療法」に近い治療法も存在し、近年は徐々に広まりつつらあります。
それがソーシャルスキルトレーニング(以下SST)で、別称では「生活技能訓練」や「精神科リハビリテーション」とも呼ばれ、薬物療法では直しきれない生活の中でのストレスの軽減などを目的としています。
ストレスを感じそうな場面を想定し、そこでの振る舞い方などをシミュレートしたり、基本的な生活での自立を目指し社会生活で必要なコミュニケーション能力を養い、社会生活でのストレスを軽減させ再発予防を図ります。
こう聞くと「何か難しそうだな…」と感じるかもしれませんが、このSSTは職業訓練などの類とは大きく異なり、「挨拶」や「人との接し方」といった普通の方なら当たり前のような生活の何気ない事を訓練するのがSSTです。
統合失調症の方の多くは対人関係に苦手意識を持っており、「人と上手く付き合えない」「接し方が分からない」といった事から社会生活に過度のストレスを感じてしまっている場合が非常に多いからです。
人との挨拶が苦手であれば挨拶を重点的に学び、電話での対応が苦手ならその受け答えを学ぶ…といったような感じです。
SSTは対人関係だけに限ったものではなく、身だしなみやお金の管理、日常の家事など生活全般に及び、一般的な日常生活、社会生活をストレスなく送れるようにトレーニングするもの。
薬物療法はドーパミンなどの脳内神経伝達物質のコントロールで病を治しますが、これでは根本的な解決にはならず一生薬を飲み続けなければならない事になり、実際統合失調症である私の母も病気が発覚してからの約20年間、かかさず薬を飲んでいますし、かかっている病院がSSTなどに積極的ではなさそうなので、これからも飲み続けるのでしょう。
しかし薬には必ず副作用がありますし、出来る限り根本から治療するに越した事はありませんから、SSTで日常生活や社会生活からのストレスを軽減できれば、将来的に薬を断つ事も夢ではないでしょう。
SSTはその名の通り「トレーニング」ですから、ある程度の努力と時間が必要になりますが、長い目で見れば必ずプラスになりますから、出来ればSSTを積極的に行っている病院を見つけ、薬物療法と平行して行う事が望ましいでしょう。
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