パニック障害の治療:薬物療法
パニック障害と診断され絶望的に感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、パニック障害は適切な薬物療法や認知行動療法を取り入れることによってかなりの改善を見せます。
パニック障害の原因はうつ病などと違い、心因的なストレスではなく脳内の神経障害といわれており、ノルアドレナリンやセロトニンなどの脳内物質の過不足やそれらを受け止める受容体の機能異常が原因とする説が有力です。
この事からそれら神経伝達物質の分泌を促したり抑えたりする薬物療法が有効であり、パニック障害の薬物療法に使われる薬はSSRIや三環系抗うつ薬などの坑うつ薬や坑不安薬です。
「うつ病じゃないのに坑うつ薬?」と感じるかもしれませんが、うつ病もパニック障害もセロトニンの欠乏が大きな原因とされていますので、パニック障害の治療にも坑うつ薬を使うのです。
…ちなみに「パニック障害専用の薬」は今のところ存在していません。
パニック障害の薬物療法に使われる主な薬は以下の通り↓
■SSRI … パキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトなど
■三環系抗うつ薬 … トリプタノール、トフラニール、アナフラニールなど
■坑不安薬 … デパス、ソラナックス、レキソタン、リーゼ、ワイパックス、コンスタンなど
SSRIや三環系抗うつ薬のような毎日飲む坑うつ薬とは別に、不安や恐怖を感じる時にだけ飲む頓服薬の坑不安薬を組み合わせるのが一般的で、坑うつ薬で中からシッカリ治して行きつつ、抗不安薬で不意の不安や恐怖を和らげるという2段構え。
私の経験から、坑不安薬は「いざとなったらコレを飲めば楽になる」という安心感から、持っているだけでも不安や恐怖を抑えるというお守り的な効果もありますので、2、3種類の抗不安薬を処方してもらい、より自分に合った薬を見極めたり状況に応じて飲み分けたりすると安心感が増しオススメです…が、乱用はダメですよ。
近年、パニック障害の治療の多くにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)が使われ、その有効性も認められている一方、SSRIの中でもとりわけ使われている「パキシル」は服用を中止したり減薬したりする際の離脱症状が強いとも言われておりますので、もしそれが気になる方は「パキシル」の使用は控え、別の薬を選択したほうがいいかもしれません。
ちなみに私は社会恐怖症でパキシルを処方され、1年ほど20mgを飲み続け、そこから徐々に減薬していきましたが、特に目立った離脱症状は感じませんでした…人によってみたいですね。
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