認知行動療法:行動療法とは

パニック障害は投薬治療によりある程度抑える事が出来ますが、完治を目指すとなると認知行動療法が必ず必要となってきます。

人間の記憶というのはなかなか侮れないもので、特に強烈な恐怖を感じると、それは強く記憶に刻まれ同じようなシチュエーションで鮮明にフラッシュバックします。

パニック障害における認知行動療法はまさにその「記憶」との戦いで、強烈に脳に刷り込まれた恐怖や不安の記憶をいかに和らげ、その恐怖の記憶をいかに「恐くない記憶」に置き換えられるかが重要になってきます。

「認知療法」では脳の中で論理的に「恐くない」と理解させるのに対し、「行動療法」は行動による経験によって過去の恐怖を薄め、塗り替えていくという、乱暴に言ってしまえば「慣れさせる」という治療方法になりますが、パニック障害の治療法では行動療法が一番重要になってくると私は感じています。

というのも、あまりパニック障害の知識がないかたなどは、パニック障害は電車やバスなどの逃げ場の無い状態で発症すると思っている方も多いと思いますが、実際はそれに留まらず、徐々に恐怖の範囲が広くなり、家から出られなくなってしまうという方も多いからです。

こういった比較的重度のパニック障害患者の方が認知療法だけで普通に外に出られれようになるなどありえず、「初めは家の周りの 散歩で徐々に外に慣れさせ、次は―」といったような行動療法が必ず必要になります。

それは多くの場合、数週間~数ヶ月といった比較的短い期間ではなく、年単位の時間がかかったりするのですが、無理をしてパニック発作が起き、再び行動範囲を狭めるような事態を避けるためにも、長い目で見ていく事が大事です。

ちなみに、一般的な行動療法は繰り返し少しずつ状況に慣れさせ行動範囲を広げていくというもので、上で書いたように結果を急ぎ急激に行動範囲を広げようとするとかえって逆効果になる事も多いですが、人によっては仕事などにより嫌でも行動させられ、結果的にそれが荒療治的な行動療法となって重症化せずに踏みとどまれる…といった場合もあります。

この辺は後のページで詳しく解説していきますが、行動療法の基本はあくまでも「無理なく徐々に」なので、参考までに。

認知療法で考え方や捉え方を変えていくのも重要ですが、頭の中だけで解決するほどパニック障害は甘くなく、認知療法と平行して行動を起こし徐々に慣れさせ行動範囲を広げていくというのが理想的といえるでしょう。

では次から具体的な行動療法の治療方法を解説しようと思いますが、その前に行動療法において重要になってくる「逃げ場」を私なりに書いていこうと思います。

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