行動療法の具体的な治療方法

前のページで「逃げ場の重要性」を切々と書いてきましたが、 それを踏まえここでは行動療法の具体的な手順などを書いていきます。

ちなみに行動療法は予期不安や広場恐怖を感じる場所に曝す(曝露)事から「曝露療法」とも呼ばれていますが、「曝露」とか言われるとなんか恐いですね。

一口にパニック障害で行動療法と言っても、その症状や重症度は人によって様々ですから、必ずしも「これが正解」といったものは無いのですが、一般的な行動療法の方法に私なりの経験則を加えて説明します。

パニック障害を患っている方の多くが恐怖を感じる「電車」を例に取ってみると…

■まず駅に行ってみる
■切符を買いホームに行く
■各駅停車の電車に親しい知人や家族と一駅乗車する
■各駅停車の電車に一人で一駅乗車する
■各駅停車の電車に一部区間、親しい知人や家族と乗車する
■各駅停車の電車に一部区間、一人で乗車する
■急行電車の一部区間を親しい知人や家族と乗車する
■急行電車の一部区間を一人で乗車する
■急行電車の全区間を親しい知人や家族と乗車する
■急行電車の全区間を一人で乗車する

…といった感じになります。

親しい知人や家族というのはもちろんご自身の病気をよく理解してくれている方の事で、同乗してもらう事によって仮にパニック発作が起きても色々対処してもらえるという安心感を持たせるためです。

いきなり電車に乗るといった行動はせず、初めはホームなどに降りてみて発作の兆候がない事を確認してから、「乗れるかも」と感じるのであれば一駅だけ乗ってみると良いでしょう。

そして「コレが出来たから、すぐに次の行動」というような「急ぐ」行為は、下手をすると「やらなければならない」といった強迫観念が生まれる可能性もありますので、何度か同じシチュエーションを繰り返し、大丈夫であれば次のステップに移るようにしましょう。

もちろん事前に認知療法によってイメージトレーニングしておくと効果的ですし、薬物療法を併用する事によってより大きな効果が得られる可能性が高くなります。

重要なのは「今日出来なくてもいいや」程度の楽な気持ちで臨む事で、前のページでも書いたとおり初めの頃は2重、3重の「逃げ道」を用意しておきましょう。

くれぐれも焦らず、でも絶望もしない事が大事です。

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