社会不安障害(SAD)における薬物療法
社会不安障害(SAD)の主な治療法は薬物療法と認知行動療法の2つで、ここでは薬物療法について取り上げていきます。
社会不安障害に限らず、うつ病をはじめパニック障害などでも用いられる薬は共通するものが多く、基本的に社会不安障害も毎日抗うつ薬を飲みながら、状況に応じて抗不安薬(精神安定剤)を毎日飲む、もしくは不安や緊張の強いときに頓服薬として服用するのが一般的です。
ただし社会不安障害の場合、うつ病やパニック障害に用いられる事のある三環系抗うつ薬はあまり有効ではないとされており、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(以下SSRI)が社会不安障害の薬物療法に用いられます。
社会不安障害によく用いられるSSRIは以下の通り。
■パキシル
■ルボックス
■デプロメール
■ジェイゾロフト
■レクサプロ
これらは社会不安障害の治療に効果的ですが、たびたび副作用や離脱症状の強さが取り上げられ、数年前には「パキシルの副作用によって自殺者が増えた」といった報道もありました。
ただ数年前に私もパキシルを2年ほど飲んでいましたが、目に見えた副作用は感じられませんでしたし、薬をやめる時も医師の指示に従って徐々に減らしていったので、これといった離脱症状もありませんでした。
ネットなどで調べてみると、特に離脱症状の強さを指摘する声が多いですが、薬ですから必ずある程度の副作用はあるでしょうし、飲み続けた期間や量、病状によってかなりの個人差があるのかもしれません。
そして多くの場合これらSSRIと併用するような形で抗不安薬が処方され、症状が酷い場合は毎日、それほど酷くない場合は不安や緊張を強く感じる時に頓服薬として飲みます。
主な抗不安薬は以下の通り。
■デパス
■レキソタン
■ソラナックス
■リーゼ
■ワイパックス
■コンスタン など…
抗うつ薬、抗不安薬共に言える事ですが、薬には相性があって、人によって効く薬もあれば効かない薬もあり、「合わない」「効かない」と感じたら医師に相談して薬を代えてもらうようにしましょう。
抗うつ薬の場合、薬が効き始めるまで10日~1ヵ月は必要になりますので、最低でも3ヶ月くらいは薬を飲み続け様子を見たほうがよいですが、抗不安薬の場合は30分~1時間くらいで効き始めるので、何度か飲んでもあまり効いていないようであれば早めに医師に相談するか、もしくは始めから2、3種類の抗不安薬を処方してもらうといいかもしれません。
薬物療法は社会不安障害の原因の一つとされるセロトニンやノルアドレナリンの過不足などを内面からカバーする治療法で、人によっては劇的な効果が期待できる一方、あまり効果がない人も存在します。
どちらにせよ社会不安障害にとって薬物療法より認知行動療法のほうが重要になってくるので、薬は病状の改善を早め手助けするものと考えていたほうが良いと思います。
なぜなら薬物療法は病気を患っている方の考え方や捉え方、体質などを変えるものではなく、あくまでも薬を飲んでいる期間だけ脳内神経伝達物質の働きを補うもので、根本的な治療にはなっていないからです。
では次のページから社会不安障害にとって最も重要な治療法であろう「認知行動療法」について書いていきます。
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