社会不安障害と他の精神疾患の併発
社会不安障害(SAD)はそれだけでもとても厄介な病気ですが、他の不安障害や精神疾患を併発する、もしくは他の精神疾患から社会不安障害を併発する事が非常に多いというのも特徴で、それが治療をさらに困難にしています。
社会不安障害に罹っている方の半数以上は他の不安障害や精神疾患を併発しているというデータもあるくらいで、特にうつ病やパニック障害との併発が多くなっています。
社会不安障害とうつ病の併発であれば、この2つの病気には明確な違いがあるので比較的分かりやすいのですが、共通点の多いパニック障害との併発ですと症状が似通っているため医師でも判断のつかない場合も多くなります。(→社会不安障害とパニック障害の違い)
社会不安障害に罹ってしまうと、様々な不安や自分への叱責などからうつ病を併発してしまう可能性が高くなるのは想像に難くなく、不安が不安を、恐怖が恐怖を生む悪循環に陥ってしまうのでしょう。
こうなってくると治療はより難しくなってきますし、仮に寛解にまで改善しても再発の可能性も高くなるので、出来るだけ早期に適切な治療を施さないと、生涯にわたって不安障害と付き合っていく事も覚悟しなければならないかもしれません。
パニック障害との併発の場合は上記のように社会不安障害との共通点が多く、どちらの治療法も薬物療法と認知行動療法がメインになるので、平行して治療する事が可能となりますが、やっかいなのはうつ病との併発です。
もちろんうつ病との併発も治療薬などは共通する場合が多いので平行して治療する事になりますが、病気の性質が違う一方で強烈な不安を感じる点では共通しているため、お互いが足を引っ張り合う可能性は十分にあります。
■社会不安障害により社会生活がままならず自己嫌悪に陥り、不安が増幅
■それら自己嫌悪などによりうつ病が悪化
■ますます社会生活が困難になり、さらに自己嫌悪を感じ、焦る
■焦りが強迫観念となり、一定の逃げ場や時間的余裕が必要な不安障害の治療を阻害
■それらがうつ病をさらに悪化させる
最悪の場合自殺に結びつく事もある精神疾患や不安障害の中でも、うつ病は特に自殺の危険性が高いため、出来る限り早期かつ慎重な治療が求められます。
どちらにせよ不安障害などの疑いがある場合は一人で抱え込まず、出来れば家族や親しい知人に相談し、出来るだけ早く必ず医師にかかるようにして下さい。
あわせて読みたい関連記事
嘔吐恐怖症は自分が吐く事や他人に吐かれる事を極端に恐れ、それによって日常生活や社会生活に支障をきたしてしまう心の病です。ひどい場合は「吐き気→吐き気の恐怖により緊張→吐き気」という悪循環に陥ることも…続きを読む
「当事者から見る心の病」を運営する私は、サイト名のとおり心の病を患っています。子供の頃から良くなったり悪くなったりを繰り返しつつ引きこもりも体験したそして現在に至るまでの私の病気の履歴を紹介してみたいと思います…続きを読む
日本ではルボックス、パキシルに続いて認証された第3のSSRIであるジェイゾロフト。他のSSRIに比べ効き目や副作用がマイルドで広く使われるようになりましたが、薬価が高く個人輸入により格安の海外ジェネリックに乗り換える方も増えています…続きを読む
社会不安障害や広場恐怖、予期不安によって吐き気が酷くなる私は、場合によって人との会話中といった「1人ではない場面」でも吐き気に襲われることがあります。こういった場合は速やかにその場を離れる理由を考え、酷い時はすぐに実行に移します…続きを読む
「症状ありき」で行動しがちな不安障害やパニック障害の患者に人間本来のあるべき姿である「目的ありき」で行動するように促しています。確かに一理あるのですが人間はそこまで強くはなく理想論の押し付けのようにも感じます…続きを読む
パキシルは現在一番使われている抗うつ薬で、強い効果で不安を和らげる一方で副作用も見逃せません。強い薬であるがゆえ最低一度は医師に処方してもらうべきですが、その後は個人輸入を使い格安で手に入れることも出来ます…続きを読む
私の心の病の症状は「嘔吐恐怖」に「予期不安」「広場恐怖」といったもので、予期不安の緊張により吐き気を誘発するのですが、日常が忙しく吐き気や「オエッ」という「えずき」を頻繁に繰り返していると慣れてくるというメリットも…続きを読む
社会不安障害(SAD)を発症する場面は多くの場合他人の目や評価が気になるときで、そういった場面で強い不安や緊張を感じ、それらが身体症状として現れます。主な症状は動悸、手足の震え、吐き気、腹痛や下痢、呼吸困難や過呼吸などです…続きを読む