社会不安障害(SAD)における認知療法
前ページで認知行動療法の重要性を書いてきましたが、まず自分自身の考え方や捉え方を変えていく「認知療法」について取り上げていきたいと思います。
社会不安障害での強い不安や恐怖、緊張を感じる場面というのは、多くの場合当人の間違った認識、決め付け、思い込みなどにより引き起こされ、そういった間違った認識や思い込みを無くすため、認知療法では物事を「合理的で理に叶った」考え方に導いていきます。
例えば「あまり親しくない人との食事」で考えてみましょう。
社会不安障害の方はこういった場面を苦手とする人が多いと思いますが、「なぜ強い不安を感じるのか?」「なぜ苦手なのか?」を考えると、「以前、同じような場面で恥をかいた」「他人の評価が気になる」といった、合理的ではない理由がほとんどです。
過去に同じような場面で恥をかくような事があったとしても、今回も恥をかくとは限らず、また「恥をかくかもしれない」というのは参加者すべてにいえる事であって、自分ひとりが強く不安に感じるような事ではありません。
「他人の評価が気になる」というのも同様で、こういった不安や恐怖は完璧主義者に多く見られる傾向にあり、「良いか悪いか」の二極で物事を考えがちだと、こういった不安や恐怖を抱く場合が多くなります。
「多少恥をかき、多少評価を落としてとしても、それが今後自分にどれだけの影響を与えるのか?」と考えれば、多くの場合大した影響はありません。
先ほども書きましたが、これら不安や恐怖は参加者だれしもが当てはまる事で、自分だけ過剰に不安や恐怖を感じる必要はないのです。
社会不安障害はこうやって過剰に自分を追い詰め、逃げ場をなくしていく事により発症していくので、これらの偏った認識、間違った認識を変えていく事が重要になってきます。
認知療法はこうやって、「大した事じゃない」「不安に感じる必要はない」と物事を合理的に考え、それを何度も反芻、もしくは何度も書面に書いたりして、そういった間違った認識を少しずつ改善していきます。
人生は失敗の繰り返しであり、多少の失敗など今後の人生に大した影響はない。
社会不安障害を患い、不安は恐怖を感じる場面というのは、実は世界中の人間が普通に行動している事です。
社会不安障害は他人の目や評価を気にするあまり、過剰に1つの事に固執し不安や恐怖を感じる傾向にありますが、それら認識の多くは間違っていますので、一度考え方や捉え方をクリアにし、噛み砕いてもう一度よく考えてみましょう。
次のページでは認知行動療法の1つ、「行動療法」を取り上げます。
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